一番病
スーパーコンピュータの研究費の問題で、蓮舫議員が以前『一番じゃなければだめなのか』と発言したことがありましたね。各方面から袋叩きにあった発言です。しかし、逆説的に言えばこの発言は正しかったと思います。似たような話で世界に一つだけの花という歌がありましたが、これも一部から猛烈な批判を浴びました。
日本人は一番が好きなのでしょう。鶴見俊輔はこういったことを一番病と呼んでいました。
スーパーコンピュータの件ですが、地震や医薬品の開発などに必要だと言っていました。しかし、地震の予知に有効だったことはないと思います。また、医薬品の開発という点ではコンピュータシュミレーションで薬ができたことはほとんどありません。これはどういうことかというと、製薬は今現在販売されているものは、何らかの有効性があるというものから化合物を単離したものやそれに化学修飾したものが主だということです。もちろんこれからはシュミレーションが主になるのかもしれません。しかし、一般の人の認識ではさも、シュミレーションが今現在の有効手段のようになされています。スーパーコンピューターに関してはあくまでもこれからの技術であり、失敗の可能性もあるということを強調すべきだと思います。その点をないがしろにして、ただ日本人の一番病を刺激しているだけでは不毛でしょう。
もともとスーパーコンピューター開発はコンピューター学者の科学的興味によるものが大きいと思います。ただ、それだけでは予算が取れないので、あれこれと有効性を主張しているのが裏事情だと思います。Spring8と同じですね。